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2021.04.02
労務ニュース

36協定が変わりました②電子申請

労働者を残業させる場合に、予め届出が必要な「36協定届」。
正式な名称を「時間外労働・休日労働に関する協定届」と言い、労働基準法36条に基づく労使協定です。事業主が法定労働時間(1日8時間・1週間で40時間)を超えて労働を命じる場合に、労働基準監督署に届け出ると同時に、労働者への周知が必要です。

この36協定届が2021年4月1日から大きく変わりました。
前記事では、様式の変更点について解説しました。本記事では36協定届の電子申請における変更点を解説します。

1. 電子申請とは?
電子申請は、総務省管轄の行政情報のポータルサイト「e-Gov」の「e-Gov 電子申請」から行います。

紙によって行われている申請や届出などを、インターネットを利用して行うもので、原則パソコン上だけで手続きが完了します。

2021年4月現在、e-Gov電子申請で届出・申請可能な主な手続きは以下の通りです。

○労働基準法に定められた届出:51種類
時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)
就業規則(変更)届出
1年単位の変形労働時間制に関する協定届 など
○最低賃金法に定められた申請:9種類
最低賃金の減額特例許可の申請 など

電子申請を利用しても、36協定届・就業規則(変更)届・1年単位の変形労働時間制に関する協定届については、受付印を受け取ることができます。

従来から36協定届の電子申請は可能でしたが、2021年3月末から変更点があります。

2. 事業場ごとに労働者代表が異なる場合であっても、36協定届の本社一括届出が可能に!
従来から、複数の事業場がある企業について、これまで電子申請では1つの過半数労働組合と協定を締結している会社だけが、本社一括届け出が可能でした。つまり、1つの過半数労働組合がない場合には、本社一括の届出はできなかったのです。

しかし、2021年3月末から、電子申請に限り、事業場ごとに労働者代表が異なる場合であっても、本社一括届出ができるようになります。もちろん、従来通り事業場ごとに36協定届を締結する必要はありますが、電子申請の本社一括届け出により、それぞれの事業場を管轄する労働基準監督署へ届け出する必要がなくなります。
事業場の数が多い事業主は、36協定届の電子申請でより効率化が図れます。

(出典)厚生労働省「労働基準法・最低賃金法など に定められた届出や申請は電子申請 を利用しましょう!

3. 電子署名・電子証明書が不要に!
これまで、e-Gov電子申請では押印・署名の代わりとなる電子署名・電子証明書の添付が必要でした。
2021年4月から押印・署名の代わりとなる電子署名・電子証明書の添付が不要となります。

4.電子申請では、別途「36協定書」の作成・保管が必要
以下に記載するのは、従来と変更がない点ですが、非常に重要な事項のため、こちらに記載しておきます。
前記事で解説した通り、「36協定書」という労使協定で合意した内容を「36協定届」の様式に記入して届け出るのが本来の流れであり、労使協定には、労使双方の署名・押印が必要です。紙による届出の場合、「36協定届」に労使双方の署名・押印があることで、「36協定書」を兼ねることができました。

一方で、労使双方の署名・押印欄がない電子申請では、そもそも「36協定書」を兼ねることができず、あくまで「36協定届」の役割しか持たないのです。電子申請で届出を行う場合は、別途「36協定書」を作成し、労使双方が署名・押印の上、保管しておくことが必要です。

時間外労働の上限規制に対応するには、電子申請・紙による申請いずれを利用するとしても、労使で適切に話し合いをした上で、36協定を締結するように心がけてください。

社会保険労務士法人リンケージゲートでは、36協定をはじめとした各種協定書の作成や電子申請の代行も行っております。
相談業務も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。